JIRA Portfolio でカンバンプロジェクトの管理をはじめる
この記事は、Atlassian User Group Tokyo Advent Calendar 2016 21日目の記事です。
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恒久的な機能改善・メンテナンスが必要となるサービスにおいての究極は、ユーザーに対してより高い価値をデイリーでデリバリ することです。 私はこれに最も近づけるプロジェクト管理方式としてカンバンが有効であると考えています。
カンバンについての詳しい解説は書籍等を参照していただければと思いますが、カンバンにも当然弱点があり、それは計画性が薄いことだと認識しています。(長所でもあります) 計画性が薄いことで出る悪い影響として、課題ごとにいつデリバリされるのか予測しにくいことが挙げられます。 これはカンバン運用上の大きな問題となりえますし、まだカンバンを導入したい際にも大きな障壁となりえます。
JIRA Software のオプションである JIRA Portfolio は、ちょっといじってみたところカンバンの計画性の弱さをうまいこと緩和してくれそうです。 で、Atlassian の製品全体的に言えることですが、最初の使いかたのキャッチアップにま〜〜時間がかかりがち。ということで、本当に JIRA Portfolio でカンバンプロジェクトを管理できるようにしてみたところまでを共有します。 これでなんとなく導入部分のイメージをつけていただいた方々によって、さらに進歩的な使いかたを共有されることを願って…。
手順
- カンバンプロジェクトおよびカンバンボードを作成しておく。
- 計画(プラン)を作成する。
- どのカンバンプロジェクトからプランをつくるか選択する。
- プランに含めるバージョンを選択する。
- プロジェクト管理にカンバンを用いることを選択する。
- プランのスコープに入れる課題を選択する。
- ステージ(開発工程)を作成する。
- ステージごとに必要なスキルを設定する。
- プランにメンバーをアサインし、週のアサイン可能時間を設定する。
- アサインしたメンバーごとに担当させる工程・スキルを設定する。
- 課題ごとの見積もりを設定する。
長いですががんばります。よくわからない単語の使い回し等になれればサクサクははずです。
計画(プラン)を作成する。 プランに名前をつけるだけです。ここでは傲慢な地球人を粛清するための計画を起案します。 終わったら Next をクリックします。
どのカンバンプロジェクトからプランをつくるか選択する。 すでに作成されているカンバンボードをプランのソースとして選択します。 終わったら Next をクリックします。
プランに含めるバージョンを選択する。 このプランに含めるバージョンを選択します。あとで作成することもできます。ここでは開戦準備からジャブローにコロニーをこんにちはさせるまでを計画に入れます。 終わったら Next をクリックします。
プロジェクト管理にカンバンを用いることを選択する。 スクラムを選択してスプリントの管理もできます。が、ここではカンバンを選択します。 終わったら Next をクリックします。
プランのスコープに入れる課題を選択する。 ソース内にある課題のうちどこまでをプランのスコープにいれるか個別に選択します。 終わったら Done をクリックします。 これでプランの作成は終わりです。
ステージ(開発工程)を作成する。
ステージごとに必要なスキルを設定する。 ステージを作成します。ステージは "開発工程" と考えてよさそうです。 またステージごとに必要なスキルを設定しておきます。スキルは "技術分野" "作業カテゴリ" といった訳が近そうです。 サンプルとして分析・開発・テストをつくっておきます。
プランにメンバーをアサインし、週のアサイン可能時間を設定する。
アサインしたメンバーごとに担当させる工程・スキルを設定する。 右上の Teams をクリックしたら表示される画面でこのプランに参画するメンバーを選択します。 またメンバーごとにこのプランに参画できる週ごとの時間と、メンバーごとに担当させるステージ・スキルを設定します。 ここでは地球に対する恨みが強いメンバーを選出しました。
課題ごとの見積もりを設定する。 Scope をクリックして元の画面に戻り、課題ごとに見積もりを登録していきます。 見積もりは各ステージ・スキルごとに登録できます。
結果
右上あたりにある Show timeline を見てみます。 先ほど入力した課題ごとの見積もり、アサインされたメンバーのスキルを見て各 Epic の開始可能日と完了予定日が視覚的に表示され、かつ勝手に最短プランを計画してくれてます。 Epic をクリックすると 各 Epic の開始可能日と完了予定日が表示されます。これは便利。 ビューを切り替えるとこのように課題ごとの工程単位での予定を見ることもできます。
つまり JIRA Portfolio によると、この作戦は 2016年1月4日に開始できた場合同年2月24日までにジャブローへのコロニー落としが成就するようです。
Capacity ビューをつかうと、各週での稼働時間の見込みを見ることができます。 ここで稼働見込みが余ってそうであれば、課題の優先順位を入れ替えたり、ボトルネックとなる工程に強いメンバーに参画してもらうなどの対応が考えられそうです。 逆に見込みが100%をオーバーしている場合はメンバーを追加で参画させたり課題を減らしたりすることが考えられそうです。
またこのほかにバージョンごと、課題事に開始日、完了日を固定で設定しておくことも可能です。 複数プロジェクトをここで一元的に管理・運用することもでき、スクラムプロジェクトも併存させることもできます。
まとめ
JIRA Portfolio を使うことでビジネスサイドの方でも誰でもどの課題がいつから対応が開始されて、いつごろデリバリされそうなのかを確認することができそうです。 ちょっと細かいところで、本当に実運用に耐えうるのか心配になることは多いのでしばらく様子見かなとは思っていますが、1.0 から 2.0 になるにあたって相当に進化していることがわかりますので、継続してウォッチしていきたいと思っています。 ぜひ検証されてみて、もろもろ情報交換させていただければこれ幸いでございます。 立てよ国民!!
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